「奇皇后」の初回(あらすじはこちら)、なかなかスピーディーでしたね。第1話のうちに子役が大人俳優になったので「はやっ!」とびっくり。これからのストーリーの重要なベースとなることではありますが、親の死や恨みつらみ系エピなどは定番な内容ともいえますので、ちゃちゃっとまとめてもカンタンに理解できますね。
第1話の冒頭で登場した元の武将タンギセとタプジャヘ兄弟が「蒼きオオカミの子孫」と自分たちのことを言っていましたね。この「蒼き狼」とは『元朝秘史』という史書の一節に登場する言葉で、モンゴル帝国を興したチンギス・カンのことを指します。ジンギス・カン、チンギス・ハーンなどと表記される場合もあり、カン(ハーン)とは王や君主を表す言葉です。
チンギス・カンは、遊牧民モンゴル族の出身で、幼名はテムジン。父イェスゲイがタタル族に殺され、厳しい幼少時代を過ごし、金の協力を得てタタル族の長を討ち、父の盟友と組んで一帯を支配。後に父の盟友と仲間割れして勝利し、彼のケレイト王国もゲットします。次にナイマン王国に攻められるも倒し、タタル族も徹底的にノックアウト。多数の遊牧民を率いる最高指導者チンギス・カンとなりました。
広大なモンゴル帝国を築いたチンギス・カンは1227年に逝去。やがて彼らの勢力はヨーロッパや中東方面にも及ぶようになり、征服した各地(ウルス)を息子や孫たちが統治していくことになります。
そのうちのひとつがフビライ(世祖)の開いた元(大元)。奇皇后は大元の末期(1300年代前半)に存在していた人なので、チンギス・カンが活躍した時代から約100年後の世界が舞台となります。
チンギス・カンの勢いはそれはもう凄まじかったらしく、モンゴル兵が通った後は猫一匹も残っていなかったとも伝えられているそう。「蒼きオオカミの子孫」と口にした元の武将は、偉大な指導者を引き合いにして自分たちの勇敢さを主張しているのです。