あらすじ17話に書いたように、でワン・ユが皇太后からソハ公主(元の皇族)との婚姻をすすめられ、断るシーンがありました。たしか突厥を破って凱旋して皇太后たちに会ったときも縁談を持ちかけられ、「まだ身を固める気はありません」と辞退しています。そして20話ではヤン(スンニャン)に「王妃になって」とプロポーズしました。
「まだ身を固める気がない」という超現代的なセリフ(そう訳しただけなのかもしれませんが)にもちょっと驚きましたが、元のお姫様との縁談を断ってヤンに「王妃になれ」と求婚するのは現実的ではないと感じた方も多いのではないでしょうか。「王妃にはできないが側室になって息子を産んでくれ。必ず守るから」と言ってくれた方が現実的だったなーと私は思います。
他の記事でも触れたように、当時の高麗王にとって「即位すること」と「元の皇族の女性を妃にして元の附馬(婿)となること」はほぼイコールでしたので、上記のようなワン・ユの言動は考えられず、まさにドラマならではのエピソードといえます。
まして、この頃のワン・ユは一度即位した後に廃位されたという立場にありました。ワン・ユのモデルとなる高麗の忠恵王は、最初の即位をした1330年には元に滞在しており、その年に元の皇族の女性を妻にしています。史実ではドラマのように独身ではなかったということになりますね。
なお、ワン・ユの結婚式場はエル・テムル(丞相ヨンチョルのモデル)の屋敷でした。ドラマの中でヨンチョルがワン・ユを好意的にとらえているのは、このような史実に基づいているからといえそうです。
忠恵王の気になるお相手は、鎮西武靖王チョーペルの娘である亦憐真班(イリンチンバル)。彼女は忠恵王との間に息子(忠穆王)をもうけ、高麗では徳寧公主または貞順淑儀公主として知られています。